Secondary School attached to the Faculty of Education, the University of Tokyo

【留学インタビュー】ニュージーランドへの留学体験

東大附属からトビタテ!留学JAPANに採択され、ニュージーランドに留学をした5年生の山脇宙桜さんに、お話を伺いました。

3年生のときに長期でオーストラリアに滞在した経験を持つ山脇さん。その経験をきっかけにトビタテ!留学JAPANに応募して、今年の3月〜4月の2週間、ニュージーランドへ留学して「日本米」に関する探究活動を行いました。留学中の経験はもちろん、留学に向けた準備や、今後挑戦したいことなどについて、たくさんお話を伺いました。

ー 留学の動機は何でしたか?

(3年生のときの)オーストラリア留学の終盤に、「卒業研究」について考え始めました。せっかくオーストラリアに行けているのだから、その経験を研究に生かしたいと思ったんです。ただ、オーストラリアでは現地の学校生活に追われていて、卒業研究の調査にあたるようなことは十分にできませんでした。それで、「もう一回海外に行こう」と思いました。それに、単純に留学が楽しかったというのもあります。大学生や社会人になって時間がなくなる前に、時間があるうちに行きたいと思いました。

ー 楽しかったというのは、具体的にはどのようなところですか。

ホーランドパーク(オーストラリアの留学先の学校)に行ったんですけど、最初は正直かなり大変でした。すでにグループができていて、もちろん留学生の受け入れには慣れている学校でしたが、自分がついていけない会話もありました。内容面でも語学力の面でも、ついていけないことが多くて、最初は本当にきつかったです。でも、年明け頃、行き始めて3か月ぐらい経ってからは、ほとんど聞き取れるようになりました。会話でも共通の話題が増えて、そこからすごく仲良くなれて、楽しくなりました。

ー 会話についていくために、特に頑張っていたことはありますか。

モーニングティーとランチタイムがあって、いつも11人くらいで一緒にご飯を食べていました。その時間が一番楽しかったです。休み時間も長かったので、ゆっくり話すことができました。あとは、バレーボールです。その学校はバレーボールがとても強くて、全校生徒がバレーボールをしているような雰囲気でした。スポーツは言葉がなくても成り立つというか、その場にいるみんなで楽しめるので、毎日の楽しみでした。

ー その経験が、「もう一回行きたい」「時間があるうちに行きたい」という思いにつながったんですね。トビタテでは、テーマをしっかり定める必要がありますよね。そこはどのように準備しましたか。

テーマを考えていたときに、最初は「トイレについてやろうかな」と思っていました。オーストラリアに行って、日本のトイレがきれいだということは知っていましたが、なぜ日本のトイレはあれほど清潔なのか、デザイン性も含めて、日本の特徴として面白いテーマになるのではないかと思いました。当時はまだ文系・理系も決めていなかったので、幅広く考えていました。

もう一つ迷っていたのが、「日本米」です。トビタテに出す企画では、最終的に日本米をテーマにしました。留学中は両親と一緒にいたので、日本米を食べられる環境はありましたが、高すぎてなかなか食べられませんでした。それがとても衝撃でした。また、母の実家が千葉の農家で、後継者不足に困っていることも知っていました。そうした背景もあって、日本米をテーマにしようと思いました。

ー トイレも日本米も、日常生活の中で感じた課題や疑問が出発点になっているということですね。実際に行ってみてどうでしたか。

自分には留学経験がありましたし、父が特に国際的な視点を持っていたので、周りからは「2週間くらい行けるよね」という雰囲気がありました。でも、正直、飛行機に乗る前はとても怖かったです。知らない人、会ったことのない人の家に泊まるのは不安でした。しかも今回はエージェントを通さずに、自分でホストファミリーを見つけていたので、かなり怖かったです。

でも、空港で迎えてもらった瞬間に、「あ、優しい」と感じました。それで「大丈夫かもしれない」と安心できました。飛行機に乗る前にもホストファーザーが連絡をくれて、「絶対に見つけるから大丈夫だよ」と言ってくれました。お米を持って行っていたので、入国審査で聞かれたときの説明の仕方も教えてくれました。それがとても励みになりました。

ー トビタテで行った(ニュージーランドでの)探究はどうでしたか。

想像とは大きく違いました。私は、日本米の試食会を3か所で行いました。1つ目は「ジャパンマート」という日本食材店です。日本に関心がある家族や、幅広い年代の人が来る場所でした。2つ目は現地の大学です。3つ目は中高一貫校でした。

日本食材店では、日本にルーツがある人が多く、その人たちに聞いても、自分の探究に直接は結びつきにくい部分がありました。そのため、人探しには苦労しました。ただ、日本に興味がある人が多く、「お米は前から食べたことがある」という人も多かったので、評価はとても高かったです。

大学では、食品科学のような分野を学ぶ学生20人くらいを対象に行いました。ここもアジア系の学生が多く、日本米ではなくても、ほかの長粒米など、お米自体には親しみがある人が多かったです。自分の予想とは違いましたが、反応はとても良かったです。

3つ目の中高一貫校は逆で、私以外にアジア系の生徒が一人もいない、農村部の小さな学校でした。そこでは、日本米を見て「何これ?」という反応がありました。「寿司は中国料理なのか日本料理なのか」と聞く生徒もいて、日本文化を一から説明するような経験になりました。そこはとても新鮮でした。自分の研究としても、大きな進展がありました。

最初は、日本米の評価を聞いて、それを日本に帰ってから発展させるつもりでした。でも、試食会をしてみると、日本米そのものの評価だけでなく、日本の文化や食文化にも関心を持ってもらえることが分かりました。たとえば、「いただきます」と言うことなど、日本という国そのものへの関心が生まれていました。その経験が、今進めている卒業研究につながっています。日本米を入口にして日本に関心を持ってもらい、日本の農村に滞在してもらう。そして、日本米だけでなく、その背景にある日本の文化や地域について知ってもらう。そういう発想が生まれました。実際に行ったことで、研究としてかなり深まったと思います。

ー 想定以上のことができたんですね。帰国後は、どこかで成果を発表しましたか。

はい。「日本ニュージーランド学会」で発表させてもらいました。帰国後すぐに、2週間で何をしたのかは自分の中でまとめていました。ただ、そこから研究にどうつなげるかは、最後まで明確には見えていませんでした。学会発表の前には、内容を何度も推敲する必要がありました。その過程で、「こういう計画を立てて、こう進めよう」とか、「大学では何を研究するか」ということまで考えられるようになりました。自分の中では、学会発表がとても良い区切りになりました。

ー これから卒業研究としてまとめていくと思いますが、大学で続けたいことや、将来の職業について関心があることはありますか。

大学は、おそらく農学部ではないと思っています。日本米は好きですし、研究対象としても興味がありますが、米そのものを専門的に研究するというより、それをどう地域おこしや観光に結びつけ、地域や社会の課題解決につなげていくことに関心があります。大学でも、日本米を切り口に、地域研究や地域振興、観光、公共政策などを学びたいと思っています。

ー 最後に、これからトビタテに応募したい人や、留学に行きたい人に向けてメッセージをお願いします。

留学については、正直、行く前は「日本で遊んでいたい」と思うこともあると思います。休み期間に行く人も、学校に通いながら行く人も、友達と離れることへの不安があると思います。「その間に友達に嫌われたらどうしよう」と思うこともありますし、親と離れるのも怖いと思います。私にもそういう気持ちはありました。行ってすぐの頃も、まだ不安は残っていました。でも、帰りの飛行機では、絶対に後悔しないと思えました。2回ともそうでした。帰りの飛行機では、「本当に来てよかった」と思えましたし、日本に帰ってお寿司を食べられることも楽しみでした。最初の勇気さえ持てれば、絶対に何とかなると思います。

トビタテについては、コミュニティの広さが大きな魅力だと思います。自分が行きたい国や、関心のある分野に同じような興味を持つ人が、事前研修などで必ず見つかります。そこでSNSを交換してつながっておくと、とても助けになります。留学前にも、「事後研修のことを考えておいた方がいいよね」といった相談ができました。私も空港で仲間と連絡を取っていて、それがとても励みになりました。そういうつながりは、トビタテならではだと思います。