Secondary School attached to the Faculty of Education, the University of Tokyo

【行事報告】入学式

 去る4月8日(金)に、令和4年度入学式を挙行しました。桜も新入生の晴れの日を待っていてくれたようで、グランウンドで写真を撮る姿が伺えました。77回生120名の皆さんの今後の活躍を期待したいと思います。

 
学校長の言葉
 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また、保護者の皆さまには、心からのお慶びを申し上げます。
 新型コロナウイルスの影響で、社会生活、そして本日の入学式もそうであるように学校生活にも様々な制限が及ぶようになり、はや2年が経ちました。この間、新入生、保護者、ご関係の皆さまの、たゆまないご努力により、そのような制限を克服し本日無事に入学の日を迎えましたこと、深く敬意と祝意を表するとともに、教職員一同、心より歓迎いたします。
 さて本日は、私なりに皆さんの未来の話をしたいと思います。近年、世界で「長寿化」が急激に進み、先進国では、例えば2007年生まれの2人に1人が100歳を超えて生きるような、いわゆる「人生100年時代」が到来すると言われています。恐らく皆さんにも当てはまると思いますが、ということは、皆さんの半数あるいはそれ以上の方が22世紀を生きるということになります。ところで、その22世紀ですが、一体どんな世界になっているのでしょうか。
 それが予測出来るなら、私たちも皆さんに生涯に亘る学びの指針を与えることができるかも知れませんが、残念ながらそのような予測は出来ません。特に最近、世界は急速に「予測が難しく不確実で、複雑で曖昧」になりつつあると認識されており、実際、持続可能性の危機、パンデミック、国際紛争など、日々新たな課題が噴出しています。そして、そういった「予測困難、不確実、複雑、曖昧」な状況では、22世紀どころか今世紀半ばまでの未来予測も原理的に困難なのではないかと考えられます。
 未来が不確実なとき、私たちはどう生きて行けば良いのでしょうか。一つの解決策として、望ましい未来、そして望ましい22世紀を作る、「創造する」というのはどうでしょうか。実際、そのような観点から、例えば2019年に経済協力開発機構OECDから公表された「学びの羅針盤」という報告書でも、未知なる環境の中を自力で歩みを進め、意味のある、また責任意識を伴う方法で進むべき方向を見出すための教育の重要性が謳われています。すなわち、主体的、探究的、協働的なアプローチにより「未来社会を創造する」ということです。
 このように、主体的・探究的にものごとを考え、さらには他者との協働や情報交換を通じて、日本社会と国際社会に貢献できる人材を育成して行く、これは、半世紀に渡る総合学習等の特色のある実践を基盤とした、本校の教育の中核を成しています。是非皆さんには、そういった本校の特色を活かし、これから22世紀に向けた学びへと自ら歩みだしていただきたいと思います。
 以上、多少堅いことを申し上げましたがご心配なく。私たちも皆さんの目標達成のために精一杯のお手伝いをしていきますし、何より周りの友達や先生方との「関係の力」そして「協働の力」が本校の大きな特長です。私も含め皆で気軽に相談しながらお互い成長をして行きたいと思います。
 以上、簡単ではありますが、ご挨拶に代えさせていただきます。 学校長 山本義春
 
東京大学教育学部長の言葉
 教育学部長の小玉です。新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。東京大学教育学部を代表して、こころよりのお祝いと、歓迎の意を表したいと思います。また、ご家族の皆様におかれましても、このたびは誠におめでとうございます。
 本校の歴史は旧制東京高校時代を含めると100年以上の長きにわたるものであり、東京高校を改組して本校が1948年に創設されたその翌年の1949年に、東京大学教育学部が創設されたことをふまえると、本校は東大教育学部よりもずっと長い歴史を有しております。つまり、本校が東大の教育学部をつくり、育ててきたという歴史があるわけで、このことは、重要な意味を持っていると常々思っています。東大教育学部としてはこのことを重く受け止めており、その意味で、東大附属の生徒の皆さんは教育学部の一員であると思っております。そして今年77回生として本校に入学される皆さんも、東京大学で共に学問の研究をしていく仲間としてお迎えしたいと思っております。たとえば東京大学教育学部の図書館を皆さんは東京大学の学生と同じように使うことができ、本を借りることも出来ます。東京大学の本郷キャンパスはコロナ禍で入構の規制がありましたが、今現在は、その規制が解かれ、自由に出入りすることが可能になっています。新入生の皆さんも、東大附属の先生方にガイドしてもらいながら、東京大学の貴重な学術的な資産をぜひ有効にご活用いただければと思います。東京大学では、「世界の誰もが来たくなる大学」をキャッチフレーズとして、キャンパスを多様な市民に開く試みを進めており、教育学部でも、この度、KYOSS(教育学部セイファー・スペース)を開設して、多様なジェンダー/セクシュアリティ、障害、生きづらさの当事者性を持つ皆さんが誰でも自由に集える空間を作りました。また、隣接する場所にはオールジェンダートイレを設置しました。本郷キャンパスに来られた際には、ぜひこれらも見てもらえればと思います。
 「世界の誰もが来たくなる大学」ということでいえば、今朝最終回を迎えたNHKの朝の連続テレビ小説は、ラジオ英語講座を通して三代100年におよぶ女性の人生を描く物語でしたが、そのなかで、第二次大戦の戦渦を目前にした登場人物が「どこの国とも自由に行き来できる、どこの国の音楽でも自由に聴ける、自由に演奏できる、そんな世界を僕らの子どもたちには生きてほしい」というセリフを述べたことも、世界平和を祈るメッセージとして強く印象に残りました。しかし、いま世界に目をやると、そのような世界は果たして実現できているでしょうか。この2年間、新型コロナウイルスの感染が世界を直撃し、私たちは国と国との自由な行き来がまったく出来なくなってしまいました。さらに、この2月24日に、ロシア軍はウクライナに対して一方的に軍事的侵攻を開始し、その結果、町が破壊され、子どもを含む多くの市民が犠牲になっています。この軍事侵攻は、世界の平和と民主主義を脅かす重大な危機をもたらしていて、この点でも、国と国の間の自由な行き来に暗雲が立ちこめています。これらの重大な危機に、どのように対処していけばいいのでしょうか。その答えを私たちは十分に持ち合わせてはいません。私たち教育学部のメンバーは、そのような正解のない問いを皆さんともしっかりと共有し、共に考えていきたいと望んでいます。
 幸い、本校には、探究的な学びを深めていく教科の授業や総合学習、さらには生徒会活動や学校行事、三者協議会などを通じた民主主義と自治の仕組みが備わっております。そうした活動に積極的に関わることが、本校での6年間を、皆さんにとって、主権者として、市民として自立していく上で有意義なものにしてくれるものと確信しています。本校での生活が楽しい6年間になることを希望して、私からの祝辞としたいと思います。 教育学部長 小玉重夫
 
東京大学総長の言葉
 東京大学総長の藤井輝夫です。新入生のみなさん、並びに保護者・ご家族のみなさま、本学教育学部附属中等教育学校へのご入学、おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。憧れの中学生となったみなさんは、緊張しつつも、喜びと期待でいっぱいなのではないかと思います。
 いま、世界には人類全体で力を合わせて解決していかなければならない課題が沢山あります。みなさんがまず思い浮かべるのは、新型コロナウイルス感染症ではないでしょうか。この2年間、学校で友だちに会うこともなかなか叶わず、不安だった方も多いと思います。入学のお祝いに加えて、ここに集ったみなさんが、その厳しい状況を乗り越えてきたことも称えたいと思います。
 また、ロシアによるウクライナへの侵攻を思い浮かべた方もいらっしゃるでしょう。2月の終わりに突然起こった理不尽な軍事侵攻は、誰も望んでいなかった破壊や悲劇、あたりまえの日常生活が失われてしまう、そうした世界秩序の脆さをあらわにしました。そのほか、気候変動やプラスティックゴミ問題など、私たちが向き合うべき課題は数多く存在しています。
 そうしたなかで未来に希望を抱き、解決方法を考えていくためには、仲間とともに互いに励まし刺激し合いながら学んでいくことがなにより大切です。この附属中等教育学校には、そのための環境がととのっています。
 昨年、みなさんの先輩たちの前で、私がこれまで研究してきた海を知るためのテクノロジーについて授業をしました。参加された生徒の皆さんのくいいるような眼差し、そして止まらない質問の数々に、一人ひとりがみずから考え、想像力を働かせ、切磋琢磨しながら学んできたのだということを、強く実感しました。昨年、東京大学の基本方針を示す「UTokyo Compass」を発表しましたが、その中で「対話」を重視すること、そしてそのためには「問いを立てる力」が重要であるとしたこととも方向性が一致しており、大変心強く感じました。
 今日からは皆さんも、附属中等教育学校の一員となります。どうか興味の範囲を広く持って、勉強だけでなく、行事や部活動にも、力いっぱい取り組んでください。さまざまな人とふれあい、言葉を交わしてみてください。「対話」を通じて、お互いの共感的理解を深め、つながっていくことが今の時代には一層求められています。
 みなさんの豊かな学びが、明日の日本、ひいては世界をひらいていく力になることを願いまして、私からのお祝いの言葉といたします。
 ご入学、誠におめでとうございます。 東京大学総長 藤井輝夫
 
PTA会長の言葉
 令和4年度新入生の皆様、入学おめでとうございます。東京大学教育学部附属中等教育学校へようこそ!今日から皆さんはこの伝統と歴史のある学校の一員です。本日入学式を迎えるみなさんはどんな目標や将来の夢がありますか?_
 東大附属の6年間の中でいろんなことを学ぶうちに夢中になれることがでてくると思います。一生の付き合いになるような友人や、将来につながるような出会いやきっかけが見つかるかもしれません。皆さんには私達が想像し得ないような大きな可能性をひとりひとりが持っています。
 東大附属では授業だけが学びではありません、調べ学習やディスカッション、プレゼンテーションなどのグループワークも活発です。問題を発見して自分なりの考えで物事を解決していく、そういった日々の時間の中で自分の得意なことを見つけていくことができます。その毎日の瞬間を大切にして自信を持って学校生活を過ごしてください。
 最後に保護者の皆様、お子様のご入学おめでとうございます。PTAは生徒たちが安全で楽しい学校生活をおくれるようサポートしていますが、その活動の中で子ども達と共通の話題、共通の感動体験を持ちながら成長を見守って下さい。思春期になる子ども達との接し方に悩んだときには、抱え込まずに周囲の方々に相談して下さい。PTAの存在がそういうときの頼りになりますよう心を尽くして参ります。
 最後になりましたが、東京大学教育学部付属中等教育学校のますますのご発展と、皆様のご健勝をお祈りいたしまして、お祝いの言葉とさせていただきます。 東大附属PTA会長 田口紀子